相方と大喧嘩② ～発達障がい者の気持ちを理解するのは難しいの巻～
なかなか見かけないほどの偏平足が原因で、いとも簡単に道端でつまずきまして。
足首の骨にヒビが入るという事態になりましてね。
さあ、大変！家事いっさいがっさい、相方がやることになりました。
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初めましての方も、また来てくださった方もこんにちは！
今までちょいちょい、つまずいてますよね？
過去にもいくつか痛めてる跡がみえますよ。
と整形外科医。
新宿の母ですか？
私の古傷をピタリと当ておった。
と、ここまでの経緯はここに書いてます。
ブーツが悪いんじゃありませんよ。
私の足が悪いんです。
さて、整形外科から自宅にもどって。
玄関からリビングのソファーまで、わずか5メートル。
ヒーっ！
イテ！
イタタ！
わ！
ふぅ。
やっと着席致しました。
もうここから動けません。
お尻から立派な根が生える。
ねぇねぇ、ちょっと、考えてみてよ。
そこに座ったまま、1歩も動けないとしたら、何する？
左足首だけは、じーっとしてやり過ごさなきゃいけないんだよー
テレビを観る？
リモコンに手が届かない。
iPhoneで遊ぶ？
玄関に置いたままだ！
本でも読む？
寝室にある・・・
2、3歩が動けなーい。
おーい、玄関にある私のバッグとってー。
おーい、テレビのリモコンとってー。
おーい、ベッドの頭のとこにある、本持ってきてー。
おーい、メシはまだかー
亭主関白か。
ところで、今晩の夕食はどうするの？
なんも考えてない
幸い、作り置きおかずがあったから、その日はなんとかなったけど。
ねぇ、明日のご飯どうする？と、ソファーから尋ねると
セブンで買ってくる
今のうちに洗濯して部屋干ししてたら？とソファーから言うと
明日でいいよ
洗濯洗剤がもうなくなってるから、買ってきてね、とソファーから言うと
うん
あ！そうだ、お花の水をかえなきゃ！とソファーから言うと
うん
ねーねー喉乾いたよ、なんかちょーだい！とソファーから言うと
うん
ねーねーなんか甘いもの食べたいなーとソファーから言うと
・・・
まあ、うるさいとは思いますよ。
でもさ、足首に激痛があって動けないんだもん。
もっと張り切ってやってくれてもよくない？
姫様、なんなりと～って。
優しくしてよ。
ご希望には添えませんよね。
そんな相方の怪訝な態度に不満が溜まりつつも。
じっとソファーに座ってるしかなかった。
何がツライって、そりゃあ、トイレに行くことね。
つかさー、私、アンタが入院してるとき結構頑張ったよね？
そんなこんなで不満を抱え、イライラしながらベッドに入った。
けど、足首が痛くて眠れない。
そんな夜って長いよねぇ。
さて、次の朝。
足首は痛いが、お腹は減る。
ねーお腹すいたよ、朝はお味噌汁と玉子焼きがいいなー
じゃ、買ってくる！
え？タマゴあるから作ってよ！
玉子焼きなんて無理、できない
じゃ、こっから教えるから
無理、できない、目玉焼きならできる
じゃ、目玉焼きでいいや
卵白が生々しいよぉ。
卵白アレルギーなんだけどー
チンしてもらっていい？
うん
あ！掃除機かけないきゃ！
うん
そうだ！買い物行かないと食材がないかも！
うん
ピンポーン
ねぇ、Amazonさん来たよ！と
うん
あ！昨日、トイレの掃除やってないでしょ？
うん・・・はぁ
はぁ・・・って。
私ができるなら、やってるよ。
全部いつも、私がやってることなんだよ！！
アンタ、仕事だけしてるけどさ
私は仕事も家事もやってるっつーの！
なにそのめんどくさそうな顔！！！
面倒なんて思ってない！
でも、そんな顔だったよ、私がそう感じたんだから！
じゃあ、笑顔で「はい、喜んで！」って返事してよ、ほら、やってよ。
そんなの急にできないよ！あれこれ言われると戸惑うんだよ、それが顔にでてるだけなのに！いきなり環境が変わることについていけないよ
戸惑うとか、ついていけないとか言ってるけどさ。
なんだかんだ言っても、やる気が全く感じられないんだよね。
いつもやってもらってるから、ボクが頑張るからね～って言えないの？
料理だって、洗濯だって、掃除だって。
完璧にやってもらおうなんて、1ミリも思ってないし。
ヘタでもなんでもいいから、やろうとしてくれてる気持ちが嬉しいじゃないの？
と、ボリュームマックスでガミガミ言ったものの。
・・・そうだった。
同時進行で物事を進めることが苦手だった。
苦手というと練習すればなんとかなりそうに聞こえるけど。
どうにもならないんだった。
そういう脳を持ち合わせてない人種。
例えば、何か私が頼んだとして。
何かやってるときに、また別のことを頼まれるとパニック気味になる。
取捨選択や優先順位をつけられない。
これは、後でやるね。
ちょっと待ってね。
こんな一呼吸おく、言葉も思い浮かばないらしい。
混乱しながら頼まれごとをやるから、いい結果になるわけがない。
洗濯は洗濯機がやるから、まあ使い方を覚えてしまえばいいことだけど。
干すとか、畳むとかそういうことが苦手。
形が定まらないモノをおさめたり、整えたりができない。
食洗器に食器を入れたりするのも苦手。
過去に色々やってはみたものの。
うまくできずにダメ出しされバカにされたそう。
相方はそういう脳を持って生まれた人なんだった。
幼い頃から、不器用で親には「できそこない」と言われて育ち。
どんくさいとバカにされてきた。
だから、事あるごとに自己否定感でいっぱいになる。
私がいきなり動けなくなったという環境の変化に戸惑い。
あれやって、これやってとタスクが満載。
嫌なんじゃなくて、本当に戸惑ってたんだよね。
理解してるつもりでも、自分に余裕がなくなるとイライラしてしまう。
一見、普通の大人にみえるから、厄介。
何かひとつのことを集中してやる能力は飛び抜けてる。
入ってしまうと、隣で声をかけても聞こえない。
初めてこの状況になったとき、無視してると思った。
聞こえなくなるなんて、そんなのウソだろ、と思った。
仕事に集中すると、朝から夜中まで飲まず食わずでやってのける。
あれ？気が付いたら夜中だった。
そんな感じらしい。
短期間に濃厚にやるから、そういう仕事面ではかなり評判がいい。
どうよ、このデコボコアンバランス。
とはいえ、
とはいえですよ。
いちいち怪訝な顔される、私の身にもなってよ。
本人は怪訝顔じゃなくて、困り顔だというけれど。
そんな区別はつかないんだから。
と、そのとき。
もういいよ、一緒にいてくれなくて、もういいよ！一緒にいてもなんの役にも立たないんだから！
そういって相方は外に飛び出した。
こんな時、ずーっと帰らないこともあれば、小一時間で戻ることもある。
さぁ、今日はどっちだ？
どっちにしても、私から連絡したりはもうしない。
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1時間くらいして、相方が戻ってきた。
スーパーの袋を持っていた。
人参、タマネギ、ジャガイモ、牛肉。
そしてカレー粉。
カレー、作るから待ってて
うん、ありがと。
何事もなかったかのようにカレー粉の箱の裏をみながら、危なっかしい手つきで人参を切る相方。
タマネギってどこまでが皮なの？
と、ソファーまでタマネギをもってくる。
そして約3時間半後。
待望のカレーが出来上がった！
水の分量を間違ってたようで、出来たカレーはサラサラだった。
でもね、
すごーく美味しかったよ。
2日目はもっと美味しくなるよね。
誰かが料理してくれるって幸せだね。
それから3日間、カレーを食べ続けたけどね。
発達障がいを持つ相方とのドタバタ暮らしは続く。
読んでくださりありがとー。
じゃ、またね！
